もう一つの学校を
1952年大阪に生まれ育った私、森田真礼夫が86年から北海道で開いている、農村生活を体験す
るための私塾です。
都会で生まれ育った青少年が、農村での仕事や暮らしを体験し、その中から、これからの人生の糧に
なるものが有ればと思い開いて来ました。都会に生まれ育った人の中に、自然に囲まれた生活に憧れる人が増えている。
ファミコンの世界でしか遊べぬ子ども。
詰め込み教育、知育一辺倒の学校に満足出来ぬ少年。ギスギスした都会での仕事や生活に、充実を感じられない若者。
テレビをつければ「ムツゴロウ王国」や「北の国から」に感動する。
何となく、自分の本当の欲求は、こういう世界の方にあるのでは‥‥という予感。しかし、都会育ちにとって、自然体験とはレジャーのことであり、
自分の人生とは縁のない、別世界のことと思える。
なにしろ、学校ではコンクリート社会の中で生きる道しか、学んで来なかったのだから。
憧れはいつまでも憧れのままで、悶々とした日々を送り続ける。そのような人たちに、自分の五感で持って自然と向き合う生活の場を提起したい。
土にまみれ動物に触れ人に出会う<大地の学校>は、私のこんな想いの中から始まった、もう一つの学校です。世の中大地に生きる道もある
そんなことを学ぶ学校があってもいいじゃないか
<大地の学校>の歩み開設時から主として来た活動は、夏休みや冬休みの時期に1〜2週間の短期体験教室を開くも
ので、86年夏に第1期を開いてから今でに400人以上の若者が参加しました。特に農村移住を勧めるためのものではありませんが、参加者の中からは農業関係の学校や農村
での仕事に進む者、農村青年と結婚する者も現れるようになりました。
どのような道に進もうと、それぞれなりに都会では見いだせなかった自分の夢を膨らませてい
ることと思います。かっては私自身も大阪に住み、勤めを別に持ちながらのボランティア活動でしたが、小学児童
の体験受け入れには周年に渡る活動の企画、生活の世話が必要と考え、93年に家族ともども
北海道に引越して態勢作りを行ってきました。そして、95年度から小学生の農村留学も開始。
留学第1期は小学3年生から6年生までの児童を受け入れ、98年度の第4期からは中学生、
2000年度の第6期からは高校生の留学も開始、今に至っています。現在<大地>としては、農村留学・短期教室・酪農実習体験の3部門を活動の柱にしています。
もちろん、いかなる政治団体や宗教団体とも関係ありません。地域の信頼と協力を得てこれま
で活動して来ました。
大地の学校>も開始以来10年以上が過ぎました。
一度短期で来た人が何度も訪れたりもします。自分が何を求めているのかを考えたい、
という思いで来る人が多いようです。ここでの基本は一つです。
まず、きちんと働く。
そのためには、
生活をきちんとする。
そして、続ける。
子どもは子どもなりに。
青年は青年なりに。
大人は大人なりに。
ただそれだけが、
ここで暮らす中身。
<大地の学校>での教育です。大地に足を着けて暮らす。
人には、そんな時が必要だと思う。
少なくとも、独り立ちする前のいっとき位は。